若者に手袋づくりを伝える活動のご報告
できごと
江本手袋は東かがわ市引田という小さな港町で、「人らしく生きるものづくりで、喜び合える地域社会を創る」という経営理念で1939年(昭和14年)の創業から80年以上手袋づくりを続けてきました。
香川県東かがわ市は日本一の手袋産地と言われていますが、海外生産が進むにつれて手袋の仕事は減少し、手袋職人も高齢化が進み、新たに手袋職人を目指す人もほとんど居なくなっており、これまで培ってきた手袋縫製技術を伝える仕組みもありません。
そんな中、地域の手袋づくり文化が失われることを危惧した私たちは、2017年に「手袋職人を守り育てる」をコンセプトにした手袋のブランド『佩(ハク・hac)』を立ち上げ、様々な課題に取り組んでいます。
その取組みの一環として、昨年より吉田愛服飾専門学校の生徒の皆さまに『手袋づくり講座』を提供しており、昨日、この取り組みをメディアに取り上げていただきましたので、ご報告いたします。
▼専門学校で手袋づくりの授業 50年以上縫製を手掛ける職人が指導 香川
https://news.yahoo.co.jp/articles/2876d891a771ea43a5b53660c1b5bfb89bec8033
▼手袋の”日本一”産地で技術を伝授 手袋づくり50年以上の職人が専門学校生に【香川・東かがわ市】
https://news.yahoo.co.jp/articles/1b715682e43d5c8af6d0e77313bdfc8e3f0d33af
昨年入社した、職人見習いの夏田も日々取り組んで、ようやくリストマフラーの縫製を担当できるようになりました。
でも、お客様用の手袋は、ベテラン職人の久米からお墨付きが出るのはもう少しかかりそうです。
私たちの地域で受け継がれてきた手袋づくり文化とは、一人の手袋職人が左右の手袋を最初から最後まで縫い上げることが特徴で、言わばテーラーメイドです。一つ一つの手袋に職人の癖や考えが色濃く出てきますので、左右の手袋を別々の職人がつくることは絶対にありません。
手袋の海外生産はライン生産です。真っ直ぐだけ縫う人、カーブだけ縫う人、指先だけ縫う人、親指だけ縫う人、といったように何人もの細分化された作業によって作られます。それは職人を育てる時間を無くし、細分化できない部分を簡略化し、少し大きめに作ることで「手が入れば良い」コスト優先の手袋づくりです。
海外生産が悪いわけではなく、先人が磨いてきた手袋縫製の技術を絶やしたくないのです。手袋職人の社会的地位を高め、手袋づくりを若者が憧れるような仕事にしたい。この地域を手袋職人の聖地にすることを目標に、私たちに出来ることは何でもやります。
こうやって日々活動できるのも、佩(ハク)を支えていただけるお客様あってこそです。皆さまからの温かいコメントや、時にはお叱りの声も、全てが私たちの励みとなっています。本当にありがとうございます。
これからも、佩(ハク)と江本手袋をどうぞよろしくお願いいたします。