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はじめに

 はじめまして。児童文学作家の嘉成晴香(かなりはるか)と申します。とてつもなく遠い雰囲気の名前ですが、どなたかの心とお近付きになれるような物語を心がけ、執筆活動をしております。

 さて、みなさんは、ご自分の名前の漢字を説明する時、どんな風になさいますか。私は「香」を示す際に、必ず「香川県の『香』」だと話しています。私は和歌山県出身です。でも、父が学生時代を香川県で過ごしたことからこの漢字が採用されたのです。父も母も旅好きで、幼い頃はよく香川県にも連れて行ってもらいました。なので、私にとっても香川県は思い入れのある場所となっています。

 今回、「江本手袋や東かがわ市に寄り添う物語を執筆できないか」と相談してくれた、江本手袋さんで働く友人の明日香とも「香川県の『香』」つながり。最後に会ったのは学生時代の頃なので、もう10年以上経ちますが、こうして一緒にお仕事ができるようになったことに不思議なご縁を感じると共に、とても嬉しく思っています。何より、自分のアイデンティティの一部であるような香川に携わらせていただけることが幸せです。

 連載小説「せとばれ」には、世代のちがう様々な人物が登場します。手袋やマフラーなど、あたたかなアイテムが人と人とをつなげ、深め、また関係を広げていきます。職人さんが一つ一つ心を込めて作った製品から、お客様の物語の始まりを予感させるような、そんな小説を書いていけたらと願ってやみません。

小説は、連載ではありますが一話完結ですので基本的にどこからでも楽しんでいただけます。お好きな商品や、気になるタイトルからお読みください。

 これから一年間、どうぞよろしくお願いいたします。

 

プロフィール:

1987年、和歌山県生まれ。大阪府在住。

児童文学作家。2013年、『星空点呼(朝日学生新聞社)』で第4回朝日学生新聞社児童文学賞、第43回児童文芸新人賞。他に『流れ星キャンプ(あかね書房)』、『夢見る横顔(PHP研究所)』などがある。最新刊は『人魚の夏(あかね書房)』。日本児童文芸家協会会員。好きな食べ物は、うどんとアイスクリーム。夫と二人の男の子の4人家族


 

こんにちは。江本手袋三代目の江本です。今回嘉成さんにご協力をいただき、連続ウェブ小説「せとばれ」をスタートしました。

佩のブランドを立ち上げてからこれまで、多くの方に佩をご購入いただきました。お客様より使ってみての感想をいただいたり、贈り物として喜ばれたなど様々なエピソードをお聞きしました。

「母さんが夜なべして手袋編んでくれた」というフレーズで有名な「母さんの歌」にもあるように、手袋はただ手を温めるだけのものではなく、心までも温めてくれる真心のこもったあったかいものです。

「せとばれ」は、瀬戸内の港町から始まる物語です。

ぜひご覧ください。

 

「佩」とは

佩(ハク)とは、江本手袋が「喜び合える手袋づくり」を目指して取り組む手袋ブランドです。

職人を守り育て、地域の手袋づくり文化を未来へと受け継いでいくために、扱う素材、デザインの考え方、色展開、つくる量、手袋職人の社会的地位、そして地域との関係性など、これまでの手袋づくりの全てを見直しました。

江本手袋に勤める65歳の職人は、中学卒業からずっと手袋を作り続けています。

佩は、このような本物の職人たちの手仕事をお届けします。

佩はこちら →

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